本格的な春の訪れにはあと1か月くらいはかかるでしょう。そうなるとブログの話題には事欠かないのですが、今は端境期で餌が少なくなって困っている野鳥と同じ心境です。
先日公園を散策したときに撮った葉痕の写真がありました。
寒さの厳しい冬を乗り切るため落葉樹は葉を落として負担を軽くします。葉柄のついていた痕(葉痕)は樹の種類によって様々な形をしているのでいろんな想像を楽しめ、子どもたちにも人気のある自然観察です。
これは何に見えますか? 真珠の首飾り?
山菜で有名なタラノキの葉痕です。真珠の粒粒のような痕は維管束といって養分が通っていたいわば血管のようなものの切断された痕です。
次はどうでしょう、羊の顔に見えませんか? 横から見ても正面から見ても羊さんに見えるような気がします。これはオニグルミの葉痕です。水辺の生態園の横に数本生えていますよ。
話は変わりますが、福島大池のほとりでバンが近づいてきたモズを追い払う様子を観察できました。
バンはしきりに尾羽を上下させていました。繁殖期はまだ先のはずですが向こう意気の強いバンのようです。
2013年02月
この時季定番の話題と言えば、春を待つ草木の様子ですが、今日はアセビとフキノトウのお話です。
有馬富士公園の林にはたくさんの馬酔木が自生しています。春には白いスズランのような花をつけて私たちの目を楽しませてくれます。
日当たりのよい場所ではすでにつぼみが膨らみ始め、その色も濃い紅紫から徐々に白く変わり始めました。
この木は毒があるため、森の哺乳類も食べることがありません。シカもイノシシもよくわかっているようですね。馬酔木という名前も馬が食べると酔っぱらったようになることからつけられたようです。
フキノトウは山菜として有名ですが、蕗の花の蕾を言います。園内でも限られた場所ですが、毎年可愛い花芽を出して春を告げてくれます。花芽は50センチ近くまで成長し、菊によく似た白い花をたくさんつけます。園内の蕗は植栽されたものが多く、フキノトウも来園者が見て春を感じる貴重な自然ですから採集は控えましょう。
福島大池の様子を報告します。
福島大池で越冬中のカモは3~4年前に比べ激減しているようです。今年はおそらく100羽くらいではないでしょうか? 以前は多い時で300~400羽が越冬していましたから、まことにさびしい限りです。昨年も少なかったのですが、今年は輪をかけて少なくなっています。今年の厳しい寒さを逃れてもっと南の暮らしやすい場所へ移動しているのかもしれませんね。
今いるカモの種類は『ヒドリガモ』『オナガガモ』『ホシハジロ』『ハシビロガモ』『キンクロハジロ』『コガモ』『マガモ』となっています。これは多い順に並べてみました。その他にも留鳥の『カルガモ』それにマガモによく似ていますが、図体が格段に大きな『アオクビアヒル』が住み着いています。
今日の写真は『ホシハジロ』の夫婦と『マガモ』の夫婦です。
それに葦の陰で居眠りをしていた『アオサギ』も参加してくれました。
まだまだ冬の眠りの中にあると思っていた有馬富士公園ですが、もう春の兆しがそこかしこに現れ始めているようです。
落ち葉の中に埋もれて見えませんでしたが、かき分けてみると、ありましたありました。今年もヒメカンアオイの花がひっそりとその地味な花をつけていました。
こんな時期に花をつけていったいどういう方法で受粉をするのでしょうか、虫たちはまだ眠っています。たぶん自家受粉なのでしょうね。出来た種子にはエライオソームというアリが好む物質がついていて、アリによって巣穴に運ばれその後エライオソームだけが食べられ、種子はゴミ捨て場に捨てられるというそうです。変わった方法で子孫を増やしていく植物ですね。
ヒメカンアオイの葉はギフチョウの幼虫の食草としても知られています。園内の林床にはヒメカンアオイが自生していますが、葉は食べられた跡が少なくきれいなままの物が多いようです。春の女神と言われるギフチョウが飛び交う公園になってほしいですね。でも、よく似たヒメギフチョウはコバノミツバツツジの咲く頃に園内を飛び交う姿をよく見かけます。皆さんも楽しみに待っていてください。そしてギフチョウも探してみてください。